高齢化社会、超高齢化社会と言われてどれくらい経つのでしょう。
国民生活基礎調査によれば、今や高齢者のいる世帯は全体の4割。
80代、90代の人が大勢いるということですから、当然その子どもたちもたくさんいることになります。
そう、親が80代90代だという人は、もはや全然珍しくなくなりました。
私の周りにもたくさんいます。

内閣府 高齢者白書より

実際、「自分の親」が夫婦二人で、あるいは一人で離れて暮らしている、
という人も少なくないのではないでしょうか。
国民生活基礎調査でも、高齢者のいる世帯の中で「単独世帯」「夫婦のみの世帯」が過半数 で、
「1人暮らし世帯」はどんどん増えていることが明らかになっています。

内閣府 高齢者白書より

私の父もまもなく90歳。
母と二人で暮らしています。
私の家から車で約1時間程度離れており、かつて私が子ども時代に暮らしていた場所でした。

父は近年急速に衰えてきました。
食事やトイレなど、最低限の身の回りのことは自分でできますが、家の中でも杖をついてソロソロと歩いている状況です。
それを80代の母が支えています。
父は、365日24時間、いつもどこか痛かったり、調子悪かったり・・・あちこちがスッキリしません。
父自身は自分の老いを受け容れつつも、
医療の力でもう少し何とかなるのではないかという今一つ納得できない思いを常に抱えています(たぶん)。

内科、整形外科、胃腸科、呼吸器科、皮膚科、歯科・・・
不定期ながらさまざまな医療機関に通っています。

しかしながら体力だけでなく、聴力も理解力もだんだんと衰え、1人でお医者さんに行くのもなかなか大変になってきました。
だから基本的には母が付き添って行きますが、難しい場合には離れている家族が時間調整をして付き添う場合もあります。

1人でまったく動けない、定期的に医療を受ける、~という状況であれば、
訪問診療(在宅医療)という形がありますが、
まだそこまでではない、だけど完全に一人はちょっと難しい、
・・・父の場合はそんなところでしょうか。

例えば、本人は

病院に行きたい、行けない、行きたくない。
家族に頼りたい、頼れない、頼りたくない。
自分の話を聞いてほしい、伝えられない、どう伝えていいかわからない。

例えば、家族は

離れていて、そうそう行けない。
心配だけど、自分の家族、仕事などこちらの事情もいろいろある。
親不孝と思われたくはない。
親戚や親兄弟からどう思われるか。

等々、他人なら割り切れることも、家族だから割り切れないこと、イラつくこと、許せないことがいろいろあって、
遠慮がないから傷つけたり、傷つけられたり。
一緒に暮らしていても、離れて暮らしていても、
それぞれにそれぞれの思いがあり、
理屈ではわかっていても、なかなか気持ちがついていけないのは、どちらも同じかもしれません。

そういう中で、家族だけに頼るのではなく、社会で支えるためにと、
2000年に介護保険が始まって以来、多くの課題を抱えながらも、高齢者のための医療も介護も、その環境を整えようという流れが進んでいます。
居宅介護、訪問介護、在宅医療・訪問看護・・・

原因や状況にもよるでしょうが、
老いは一気に訪れるというよりも、じわじわとゆっくりゆっくり変わっていくとき、
そのプロセスを私たち家族は、どのように乗り越えていくか。
人によって、家族の事情によって、背景は多種多様で、それは大きな課題です。

一方で、つい数年前にはなかったような仕組みやサービスが始まっています。
まだまだ地域によって差がかなりありますが、いろいろな形、さまざまな選択肢が少しづつ出てきました。

このコラムの中でも、カテゴリー「老親との関わり」においては、
そういうそれぞれの事情をふまえた課題と、そのための対策や選択肢について考えて行こうと思います。

寿命が健康寿命とは一致しない超高齢化社会は、
「老いていく」「弱っていく」流れをじわじわと感じていく社会でもあります。
その流れの中で、本人も、周りの人も、
それに抵抗したり、がんばって戦ってみたり、悩んだり、苦しんだり・・・。
でもそのステップの中で、少しづつ老いを受容していくのかもしれません。

 

 

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