わが家の近所の公園では、もう数十年も前から毎日ラジオ体操が行われています。
参加者はおそらく100人以上。
来ている人の平均年齢は、70代後半のように見えます。
当然のことながら、皆さんすこぶるお元気で、私はついて行くのがやっとなくらいです。

私も運動不足解消のため、大先輩たちを見習って、今年の夏から毎日参加するようにしています。
ここでちょっと興味深いのが、来ている人たちのおしゃべり。
ついつい、カラダを動かしながら耳をすまします。

今日は私たちの日よ。

ん?どういうこと?

敬老の日だもの。私たちのための日なのよ。

そう話しているのは、とてもお元気で溌剌としたたぶん80歳前後の女性と
同年代の男性たちでした。

私はそれを聞き、
たしかにそうだな、そいう解釈をするんだ、と思いながらカラダを動かしていました。
そこから、最近訃報ニュースになった芸能人の話に移り、
その人がついこの前までお元気だったから人生いつどうなるかわからないという話になり、
数人で盛り上がりながら、ご近所とのかかわりへと話が飛んでいきました。

この前、近所の子どもに「ねえねえ、おばあちゃん」と声をかけられたの。
だから私、言ってやったのよ、「おばあちゃんじゃないでしょ?」って。

・・・・

「じゃあ、なんて言えばいいの?」って聞くから、

私のカラダはラジオ体操をしてはいるけれど、全身がまるで耳になったみたい。
なんて言えばいいの・・・?!

「オネエサン」よ。
「オネエサン」って言いなさいって言ったの。

そしたらちゃんと「オネエサン」って言うよ。
子どもはちゃんと言えばわかるんだよね。

(それを聞いていた男性)その子、いくつくらいの子ども?!

そうね…4~5歳くらいかしら。

オネエサン!なるほど。
敬老の日はOKでも、オバアチャンはNGなんだ…

最初はそれを聞いて可笑しかったんですが、
後になって、私は今から20年以上前のことを思い出してしまいました。

4歳になった姪っ子が私を「おばちゃん」と呼んだので、
「私はオバチャンじゃないのよ。キミコチャンよ。わかる?」と言ったときのことを。
彼女は、それ以来ずっと私のことを「キミコチャン」と呼びます。
その後、彼女の幼稚園のお迎えに行ったときにも、
幼稚園の先生から「あの人は誰?」と聞かれ、姪っ子は大きな声で「キミコチャン」と答えました。
幼稚園としては、親ではない人が迎に来たので、どういう関係なのかを知りたかったのでしょうが。
彼女は今、20代後半になり、結婚して仕事で活躍していますが、
変わらず私のことを「キミコチャン」と呼びます。

当時、私の周りの同級生はもうほとんど子どもがいて、
彼女たちは日常的にオバチャンと呼ばれることに何の違和感も感じていないようでした。
でもシングルだった私にはそれがとてもイヤでした。
その他大勢のオバチャンの一人になりたくないような気持ちだったのですが、
ラジオ体操の会話を聞いて、そのことを思い出したのです。

今、私は還暦を超えたけれど、やっぱり今でも「オバチャン」と呼ばれるのは、正直イヤだ…。
ましてや「オバアチャン」と呼ばれるなんて、想定外です。
大人だし、そんなこと恥ずかしいから、もう大きな声では言わなくなったけれど、
やっぱり内心はイヤだ…

今日は敬老の日。

私が「オバチャン」がイヤだったように、
「おばあちゃん」がイヤな人はきっといっぱいいるんだよね。
それはきっと年齢とは全然関係ないこと。

私たちは、高齢者だからと何の違和感もなく「おばあちゃん」と呼ぶけれど、
テレビでも、70代の女性のことを気軽に「おばあちゃん、お元気ですね」と
言っているのが流れていたけれど、それってどうなんだろう?
そもそも高齢者ということ自体もどうなんだろう?
ちょうど今日、知り合いの男性が、
「高齢者と言われるけど、自分のことを高齢者と思っていないからなんとも違和感だ」
とSNSで投稿していました。

全然気にならない人もいるでしょうが、イヤな気持ちの人もいる。
人によって感じ方はいろいろだから、当たり前のように扱ったり語ったりするのは、
本当はとっても失礼なことだということを、今日のラジオ体操で再確認したのでした。

 

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