自宅を「みんなの家」として住み開きした笑恵館という場所があります。
そこでは、みんなで一緒にご飯を食べたり、おしゃべりしたり、いろんな勉強会やイベント、ワークショップが開かれていたり、地場野菜を販売していたり・・・。

毎月第4木曜日に、そこで「終活を知ってみよう会」という会が行われており、
私はその進行役を担って3年になります。
そんなわけで、最低月に一度は笑恵館に行っています。

今年の1月の「終活を知ってみよう会」の日、笑恵館では手作りのシフォンケーキが販売されているのを初めて見ました。
お味はプレーンともう1種類。
へぇ、ケーキ作りが得意な人が出店してるんだなあ、と私は思っていたら、
2月の「終活を知ってみよう会」の日には、4種類のお味のシフォンケーキが。

出店されている方にお話を聞きました。

出店しているのは、ノリさん。
2月27日に63歳になるそうです。
ノリさんは、パートで少し勤めたことはあるけれど、これまでずっと専業主婦。
藍染めに興味を持ち、習いはじめたら夢中になり、人に教えるお手伝いもするようになりました。

けれども今から8年前に、自身の両親、子どものいない叔父叔母の介護、精神疾患のある弟の支援が一気に始まり、藍染めから離れていきました。

現在も1週間に2回、支援に通い、畑で心をリフレッシュして自宅に帰ります。
自分の生活が少し落ち着いてきたので、また藍染めをやりたい。
でも藍染めは楽しいけれど、染料も安くないし、とてもお金がかかるんですって。
そこで、何かお小遣い稼ぎになることはないかと考えました。
パートなどのお勤めもいいけれど、自分で何かできることがあれば、何か始めてみるのも悪くないかも・・・。
そんなことを考え始めたときに、笑恵館のほほえみキッチンに出会ったそうです。

そこでたどり着いたのが、シフォンケーキでした。

2月に販売されていたリンゴのシフォンケーキには、ノリさんが細かく刻んで煮たリンゴがコロコロと入っています。
抹茶とササゲのシフォンケーキには、ノリさん自身が畑で育てたササゲが入っています。

たった一人でやっているのに、どれほど大変かと思いきや、ノリさんはとにかく「手間をかける」のが好き。
いろんな手間をかけたいんですって。
そんなわけで、いろんなシフォンケーキを作るのは、全く苦にならないようでした。
ノリさんは4月から次大夫堀公園民家園で和紡ぎの技術を学ぶ予定です。
夢は自身で育てた綿と藍でを紡ぎと染めをして、反物にし和服を作ること!
できれば、人生最後はこの着物を着ていたい。

始めて2ヶ月、今の感想を聞いたところ・・・

始めるときはお小遣い稼ぎのつもりで始めたんですが、いざやってみると、そんなことよりはるかに嬉しいことがありました。

その嬉しいこととは、お客さんからの「おいしかった」「ありがとう」「また来るね」という言葉なんだそうです。

言葉にすると、どうってことないのですが、お小遣い稼ぎとは比べものにならないくらいの、なんとも言えない充足感というか、なんというか・・・

そう語るノリさんのお顔は、生き生きと輝いていました。
今、毎日がとても楽しいそうです。
笑恵館に集まる人の一人は、そんなノリさんを見て驚きを隠せません。

始まる前と今と同じ人と思えない。
正直言うと、始まる前は自信なさげでこの人大丈夫かなあと思っていたけれど、今はもう堂々としていて、話し方から全然違う。

人生100年時代。
誰だって、いつからでも始められる。
そんなことを教えてくれる人でした。

しかも、同時にお金以上の嬉しい気持ちが得られるなんて、すごくステキじゃないですか!

誰でも「初めて」のときはある。
考えるだけじゃなくて、まずやってみる。

ということなのでしょうね。
行動する勇気は必要かもれしれないけれど、それを超えることでその後の人生が楽しくなりそうです。

私もこれからどんどんやってみようと思います。
同時に、やろうかどうしようか迷っている人の背中も押していきたいと思います。

 

ノリさんのシフォンケーキ屋さんは、毎週木曜日に笑恵館にてオープンしています。
笑恵館 世田谷区砧6-27-19(小田急線祖師ヶ谷大蔵駅下車、徒歩5分)
TEL 03-3416-2308